電気泳動とは?理系が苦手でも10分で理解できる分離の仕組み
電気泳動(でんきえいどう)は、DNA・RNA・タンパク質などの分子を「大きさ」や「電荷」の違いによって分けるための基本的な実験手法です。研究室や検査機関の求人票で「電気泳動経験者歓迎」と書かれていることも多く、未経験の方にとってはイメージしづらい技術かもしれません。
しかし、原理自体はそこまで難しくありません。この記事では、理系が苦手な方でもイメージできるよう、電気泳動の仕組みを日常のたとえを使いながら解説します。
電気泳動の基本イメージ
電気泳動を一言でいうと、
「ゼリーのような板の中に分子を並べて、電気の力で移動させる分離レース」
です。マイナスに帯電した分子は、電圧をかけるとプラスの電極に向かって進みます。しかし、ゼリー(ゲル)の網目をくぐり抜ける速さは「分子の大きさ」で変わります。
- 小さい分子 → すり抜けやすく、速く進む
- 大きい分子 → ひっかかりやすく、ゆっくりしか進めない
その結果、分子が「大きさごとに帯状に分かれる」ので、それを染色して目で確認する、という流れです。
よく使われる電気泳動の種類
● アガロースゲル電気泳動
DNA や RNA を分けるときによく使われます。ゼリーの材料が「アガロース」という多糖で、比較的大きな分子の分離に向いています。「PCR で増やしたDNAを確認する」といった用途で頻繁に登場します。
● SDS-PAGE
タンパク質を分子量で分ける方法です。ウェスタンブロッティングの前段階としても使われます。SDS という界面活性剤でタンパク質の形と電荷をそろえるため、「ほぼ分子量だけ」の違いで分離できます。
電気泳動で分かること
- 目的とする DNA 断片やタンパク質が「存在するか」
- 大きさ(分子量)が予想通りかどうか
- 分解・分解産物が出ていないか
- 混ざってはいけない別のバンドがないか
例えば PCR で 500 bp の DNA を増やしたい時、電気泳動の結果が 500 bp 付近にくっきり 1 本でていれば「狙い通り増えている」と判断できます。
未経験者が覚えておきたいポイント
- 電気泳動は「大きさで分けるレース」だと思えばOK
- ゲルの濃度を変えることで、分離したいサイズ帯を調整できる
- 安全面として、電圧と試薬の取り扱いに注意する
理屈をイメージでつかんでおくと、現場に入ったときの操作手順も理解しやすくなります。電気泳動は多くの実験の「基礎体力」のような技術なので、ここを押さえておくと研究職パートでも重宝されるスキルになります。