ATPふき取り検査とは?食品工場で何を評価しているのかをわかりやすく解説
食品工場の衛生管理で近年よく使われているのが「ATPふき取り検査」です。洗浄後の設備や作業台をスワブでこすり、機器にセットすると数十秒で数値が出てくる、あの検査です。
この記事では、ATPふき取り検査が何を測っているのか、どんな場面で役立つのか、品質保証や現場リーダーの視点から分かりやすく解説します。
ATPとは何か?
ATP(アデノシン三リン酸)は、すべての生き物がエネルギー通貨として使っている分子です。細菌、カビ、酵母、人間の細胞、食品そのものにも含まれています。
つまり、「ATPが多い=何らかの生物由来の汚れが残っている可能性が高い」と言えます。
ATPふき取り検査の原理
スワブで拭き取った汚れ中のATPを、ルシフェラーゼという酵素を使って発光させ、その光の強さを専用機器で測定します。数字が大きいほど ATP 量が多く、汚れが残っていると判断します。
ATP検査で分かること・分からないこと
● 分かること
- 洗浄直後の「汚れ残り」の程度
- 日々の洗浄手順がきちんと守られているかの傾向
- 新しい洗浄剤や手順を導入したときの効果比較
● 分からないこと
- どんな菌種がどれだけいるか(一般生菌数のような情報)
- 特定の病原菌の有無
ATP 検査はあくまで「汚れ指標」であり、「微生物検査の完全な代わり」ではありません。両方を上手に組み合わせて、設備衛生のレベルを維持していくことが大切です。
現場での活用例
- 洗浄後の充填機ノズルやコンベアのATP値を定期的に記録し、基準値を設定する
- 洗浄が不十分なラインを特定し、作業手順の見直しや教育につなげる
- 新しいスポンジや洗剤を導入したときに、導入前後の数値を比較する
品質保証が意識したいポイント
ATP検査は「測ること」そのものが目的ではなく、集めた数値をもとに「洗浄レベルを管理する仕組み」を作ることが重要です。
- ラインごと・設備ごとに目標値と警戒値を決める
- 基準値を超えた場合の対応手順(再洗浄・原因調査)を決めておく
- 数値の推移をグラフ化し、教育・改善提案に活用する
ATPふき取り検査をうまく使いこなすことで、「感覚ではなく、数字で語れる衛生管理」が実現できます。