「研究職」というと、大学や研究所で研究員として働く姿を思い浮かべる方も多いでしょう。
しかし近年、製薬・食品・化学・材料などの分野で活躍する研究職派遣という働き方が増えています。
派遣と聞くと事務職や軽作業をイメージする方もいますが、実は理系の高度な専門スキルを必要とする派遣研究員の需要は年々高まっているのです。
本記事では、研究職派遣とは何か、仕事内容、メリット・デメリット、向いている人の特徴、そして働くためのステップまで、初心者にもわかりやすく解説します。
これから理系派遣でキャリアを築きたい方や、研究職に興味がある方はぜひ参考にしてください。
研究職派遣とは?
研究職派遣とは、人材派遣会社に雇用され、派遣先の企業や研究機関で研究・開発・分析などの業務を行う働き方です。
雇用契約は派遣会社と結びますが、日々の業務は派遣先の指示に従って進めます。
- 雇用主:派遣会社
- 勤務先:製薬会社、食品メーカー、化学メーカー、大学、公的研究機関など
- 契約期間:一般的に3か月〜1年単位(更新あり)
派遣という形態を取ることで、求職者は大手メーカーや公的機関など、通常は応募が難しい企業でも働くチャンスを得られます。
研究職派遣の主な勤務先と分野
研究職派遣の勤務先は非常に幅広く、理系のあらゆる分野に存在します。
- 製薬業界
- 新薬の研究開発
- 薬効評価試験
- 安全性試験(GLP準拠)
- 分析機器:HPLC、LC-MS、NMRなど
- 食品業界
- 新商品の試作・開発
- 品質保証(FSSC 22000、HACCP対応)
- 微生物試験・理化学試験
- アレルゲン検査、栄養成分分析
- 化学・材料業界
- 新素材の開発
- 強度試験、耐熱試験
- 化学合成・分析
- XRD、XRFなどの機器分析
- 大学・公的研究機関
- 共同研究プロジェクトのサポート
- 実験補助、データ整理
- 国や自治体の研究事業
研究職派遣の具体的な仕事内容
研究職派遣の業務内容は多岐にわたりますが、大きく分けると以下の4カテゴリに整理できます。
1. 実験・分析業務
- 化学分析(HPLC、GC、ICP-MSなど)
- 微生物試験(培養、同定、菌数計測)
- 物性試験(強度、伸び、耐熱性など)
- サンプリングと試料前処理
2. データ解析・報告
- 実験データの統計処理(Excel、R、Pythonなど)
- 試験結果のグラフ化・可視化
- 報告書や論文の作成補助
3. 開発補助
- 試作品の作成
- 配合・処方の検討
- 試験条件の最適化
4. 品質管理・品質保証
- 原料・製品の規格試験
- GMPやISO規格に基づく検査
- 工程内検査や出荷判定
研究職派遣のメリット
研究職派遣には、正社員にはない魅力がいくつもあります。
- 専門スキルを活かせる
理系の学位や実験経験を直接業務に活かせます。学生時代の研究テーマが活かせる職場も多く存在します。 - 幅広い分野を経験できる
契約ごとに異なる企業やテーマに携われるため、キャリアの幅が広がります。 - 大手企業や研究機関で働ける
派遣という形を通じて、有名メーカーや公的機関で経験を積むことができます。 - 柔軟な働き方が可能
フルタイムだけでなく、時短勤務や期間限定勤務も選べる場合があります。
研究職派遣のデメリット
一方で、注意すべき点もあります。
- 契約期間の制限
プロジェクト終了とともに契約が終了することがあります。 - 昇給・賞与が少ない場合がある
福利厚生は派遣会社によって差があります。 - 業務内容が派遣先依存
派遣先の方針によって業務が変更される場合があります。
研究職派遣に向いている人
- 新しい環境やテーマに柔軟に対応できる人
- 実験や分析が好きで、集中力を持って取り組める人
- 幅広い分野で経験を積みたい人
- 正社員よりもライフワークバランスを重視したい人
研究職派遣で働くためのステップ
- 派遣会社に登録する(理系・研究職に強い会社を選ぶ)
- スキルシートや職務経歴書を整える
- 希望条件を明確にする(分野・勤務地・勤務時間など)
- 派遣先の面談を受ける
- 契約・就業開始
まとめ
研究職派遣は、理系スキルを活かしながら多様な経験を積める働き方です。
契約期間や待遇面の課題もありますが、キャリア形成やスキルアップの観点から見ると大きなメリットがあります。
まずは、自分の希望分野や条件を整理し、理系派遣に強い派遣会社に相談してみることをおすすめします。